介護サービスには具体的にどのような種類があるのでしょうか。この記事では、介護サービスの種類や利用する際にかかる費用、また介護サービスを選ぶ時のポイントを解説します。
介護サービスとは?
介護サービスには様々な種類があることから、介護を必要とする方の状況や住まい環境、家族関係などを考慮して最適な介護サービスを受けることが大切です。そのためには、介護サービスを受ける前に、サービスの種類やその中身をしっかり把握する必要があるでしょう。
介護サービスには、大きく分けて以下の3つの種類があります。
- 居宅サービス
- 施設サービス
- 地域密着型サービス
それぞれのサービスによって提供するサービスの内容は異なります。ここでは、3つの介護サービスの特徴や費用、メリットやデメリットについて解説します。
居宅サービス
要介護認定を受けた方に対し、担当のケアマネージャーがその方にとって最適な介護プランを作成します。在宅で介護サービスを受ける場合は、ケアマネージャーが作成したプランに沿って適切な居宅サービスを受けることになるでしょう。
介護サービスの一環である居宅サービスとは、一体どのようなサービス内容なのでしょうか。ここからは、居宅サービスの中身やサービス利用時にかかる費用、居宅サービスのメリットやデメリットについて解説します。
居宅サービスとは?
居宅サービスとは、在宅で受けられる介護サービス全般のことを指します。居宅サービスをを利用すれば、以下の3つのサービスを受けることが可能です。
- 訪問介護
- 訪問看護
- デイサービス
「訪問介護」とは、介護を必要とする方の自宅へ訪問して、食事や入浴、排便などの日常生活全般を介護するサービスです。「訪問看護」は、看護師や医師が自宅に訪れて注射や点滴などの医療行為を自宅で行うサービスであり、「デイサービス」は要介護者が日中施設に通い、様々な介護サービスを受けることができます。
また、自宅へ訪問してくれる訪問型サービスと、施設に通うデイサービスの両方が利用できる複合型サービスなどもあり、利用者の状況に応じて柔軟に利用することが可能となっています。
居宅サービスにかかる費用
居宅サービスを利用した際にかかる費用ですが、居宅サービスは介護保険の提供対象であることから、介護認定のうち「要介護・要支援」状態にある「65歳以上の高齢者」と「40歳から64歳までの特定疾患の患者」であれば、基本的に1割の自己負担で受けることが可能です。
しかし、一定以上の収入がある高齢者の場合は3割負担となり、支給限度額を超えた場合や介護サービスの範囲を超えたサービスを利用した費用は、全額自己負担になるため注意する必要があるでしょう。
居宅サービスの申請方法
居宅サービスを受けるには、まずは役所に要介護認定の申請を行い認定を受ける必要があります。申請を行うと調査が行われ、調査結果に基づいて要介護認定がなされます。
その後、家族がケアマネージャーとともにケアプラン(支援計画)を作成して、介護サービスの利用が始まります。
施設サービス
介護サービスには、自宅で介護を受ける居宅サービスの他に、施設に訪れて介護サービスを受ける施設サービスがあります。具体的には、日帰りでデイサービスセンターに通い、食事や入浴、リハビリテーションなどの介護サービスを受けることができます。
ここでは、施設サービスの具体的な中身や施設サービスを利用した際にかかる費用について具体的に解説します。
施設サービス
介護サービスのうちの1つである施設サービスとは、利用者が介護保険施設に入居して受ける介護サービスのことを指します。この施設サービスには主に以下の4つが含まれます。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
「特別養護老人ホーム」は、 一般的に「特養」と呼称されており、在宅での生活が困難になった要介護認定を受けた高齢者が入居できる、公的な介護保険施設の1つです。
「介護老人保健施設」は「老健」とも呼ばれる施設であり、長期入院をしていた方が、退院して家庭に戻るまでの間に利用されることの多い特徴があります。
特別養護老人ホームなどと同様に、介護保険が適用される公的な施設であり、入所中は介護サービスや看護サービスだけでなく医師のサポートを受けられます。
「介護療養型医療施設」は、介護度の高い要介護者向けの介護施設です。その多くは医療法人によって運営されており、リハビリや手厚い医療ケアを受けることが可能です。
「介護医療院」とは、廃止された「介護療養型医療施設」の主な転換先として、2018年に誕生した要介護者向けの介護施設です。日常生活の身体介助や生活支援、介護療養型医療施設が行なっている医療的ケアを受けることができる特徴があります。
施設サービスにかかる費用
施設サービス利用には介護保険が適応されます。介護認定が「要介護」「要支援」状態にある65歳以上の高齢者や、40歳から64歳までの特定疾患の患者に該当すれば原則として1割の自己負担で利用することが可能です。
具体的な金額は、要介護の度合いや利用する施設ごとに異なりますが、おおよそ1日1,000円前後の費用で利用が可能となっています。
また、施設サービスにかかる自己負担分とは別に、居住費や食費、日常生活費を加えたものが、施設サービスを利用した際に掛かる費用の総額となります。
施設サービスの申請方法
ここまで紹介した施設サービスは、高齢者であれば誰でも入居できるわけではなく、入居するためには要介護認定の申請を行い認定を受ける必要があります。
まず、介護を受ける方が住んでいる市区町村の窓口で要介護認定の申請を行います。申請した後は職員やケアマネージャーが自宅に訪問し、認定するための聞き取り調査が行われます。
その後市区町村からの依頼により、かかりつけの医師が心身の状況について意見書を作成します。さらに主治医意見書に基づくコンピュータによる一次判定や介護認定審査会による二次判定を経て、最終的に市区町村が対象者の要介護度を決定します。
介護保険では、要介護度に応じて受けられるサービスが決まっています。要介護度が決定した後は、今後どのような介護サービスを受けるか、担当のケアマネージャーと共に具体的なケアプランを作成し、ケアプランに沿ってサービスの利用が始まります。
地域密着型サービス
介護サービスのひとつである「地域密着型サービス」は、これまで紹介した居宅サービスや施設サービスの両者を併せ持った特徴があります。地域密着型サービスでは、具体的にどのような介護サービスが提供されているのでしょうか。
ここからは、地域密着型サービスの具体的な中身やかかる費用、地域密着型サービスのメリットやデメリットなどを詳しく解説していきます。
地域密着型サービス
「地域密着型サービス」とは、介護サービスの利用者が長年住み慣れた地域で日常生活を送りながら介護が受けられるように作られたサービスです。
地域密着型サービスは、2006年より介護保険サービスの一環としてスタートした支援サービスです。65歳以上で要介護認定を受けている方で、さらにサービス事業者と同一の市町村に住民票がある方がこの地域密着型サービスを利用することができます。
地域密着型サービスは以下の3つの種類に分けられます。
- 訪問・通所型サービス
- 認知症対応型サービス
- 施設・特定施設型サービス
介護を受ける本人の状況や希望、認定された介護のレベルなどによっていずれかのサービスを利用できるのか判定されます。
地域密着型サービスにかかる費用
気になる地域密着型サービスにかかる費用ですが、地域密着型サービスは介護保険適用になることから、施設に入居した場合は要介護度ごとに決められた金額を支払うことになります。
居宅サービスの場合は毎回利用するごとに費用が発生しますが、地域密着型サービスに関しては定額制となっています。
地域密着型サービスの申請方法
地域密着型サービスを受けたいと思った場合、具体的にはどのような方法で申請すれば良いのでしょうか。
地域密着型サービスを申請する際は、まずは担当のケアマネージャーにその旨を相談します。次に自分が利用したい地域密着型サービスの運営事業所を探し、電話やメールでコンタクトを取りましょう。
実際に話を聞き、支援サービス内容に問題がなければ事業所と契約を交わします。その事業所に所属するケアマネージャーと共に改めてケアプランを作成する流れとなります。
介護サービスの選び方のポイント
介護サービスには様々な種類があり、満足度の高いサービスを受けるためにはそれぞれの介護サービスの内容を正しく把握した上で、適切に選択することが重要になるでしょう。
ここでは、介護サービスを選ぶ際に心がけるべき具体的なポイントやコツを紹介します。
現在の状況を考え希望条件をまとめる
介護サービスを選ぶ際は、今後どのような生活がしたいのか、自分が希望するライフスタイルを明確にすることが大切です。その後、現在の経済状況を踏まえたひと月当たりにかけられる金額や健康状態、家族の支援の可否などを加味して総合的に判断すると良いでしょう。
情報収集が大切
自分にとって最適な介護サービスを受けるためには、有益かつ正しい情報を収集することが大切です。実際にケアマネージャーに会いに自治体の役所や事業所などに出向き相談したり、すでにサービスを利用しているご家庭から直接話を聞いたりすると、良い情報が得られる可能性が高いでしょう。
注意点
介護サービスを選ぶ際の注意点として、介護サービスを提供する施設の清掃が行き届いているか確認することをお勧めします。施設内に清潔感がなくゴミが散乱していたり、多くの物が乱雑に置かれている場合はサービスにムラがある可能性があります。
また、質問した際に適切な回答が得られない場合や、必要な資料を提供しない事業所なども、仮に契約しても信頼関係を築くことが難しい可能性があるので気をつけましょう。
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