貸したお金が返ってこない場合や、反対に滞納金の支払いを請求された場合などには、弁護士への依頼で早期解決に繋がることがあります。金銭トラブルに強い弁護士を選ぶ際に注目すべきポイントや、依頼のメリット・弁護
金銭トラブルに「強い」弁護士とは? 注目すべき特徴
金銭トラブルの解決に向けた弁護士のサポート内容は、主に以下の2つに大別されます。
(1)債権回収
滞納された借金など、支払われないお金を相手から回収するサポート
(2)債務整理
支払うべき債務(借金など)を支払えなくなった場合に、債務負担を軽減するサポート
まずは、「債権回収に強い」弁護士と「債務整理に強い」弁護士を選ぶに当たって、注目すべき特徴をまとめました。
債権回収に強い弁護士の特徴
「債権回収に強い」弁護士の特徴としては、以下の各点が挙げられます。
- 債権回収の取り扱い実績が豊富
- 交渉から強制執行まで一貫してサポート
- 債権回収の専門チームがある
金銭トラブルの解決までの流れ
債権回収・債務整理によって金銭トラブルを解決するまでの、大まかな流れを紹介します。
手続きの内容についてわからないことがあれば、弁護士にご相談ください。
債権回収の流れ
弁護士への依頼から債権回収が完了するまでには、おおむね以下の流れで手続きが進行します。
- 弁護士への依頼|委任契約書の締結・着手金の支払い
- 内容証明郵便等による請求・和解交渉
- 支払督促の申立て
- 訴訟の提起
- 強制執行の申立て
1.弁護士への依頼|委任契約書の締結・着手金の支払い
まずは、債権回収を依頼する弁護士を選定します。
複数の弁護士に相談した上で、サポート内容や見積もりなどを比較しながら依頼先を選びましょう。
依頼先が決まったら、弁護士と委任契約書を締結します。
依頼内容や弁護士費用などの条件につき、間違いがないことを確認してから締結しましょう。
委任契約書の締結後、弁護士に対して着手金を支払います。
事件処理の結果にかかわらず、着手金は原則として返還されないので、十分納得した上で依頼をご決断ください。
2.内容証明郵便等による請求・和解交渉
着手金の支払完了後、弁護士は債権回収へ着手します。
最初は、債務者に内容証明郵便で請求書を送付するのが一般的です。
支払いに応じるようプレッシャーを与えるとともに、債権の消滅時効の完成を猶予する効果があります。
債務者から返信があれば、債権回収の和解交渉をおこないます。
支払い方法などについて合意に至った場合は和解合意書を締結し、その内容に従って債務を支払ってもらいます。
3.支払督促の申立て
債権回収を図るには、裁判所に「支払督促」を申し立てる方法もあります。
支払督促を申し立てると、裁判所から債務者に対して債務の支払いに関する督促がおこなわれます。
支払督促の送達後、債務者の異議申立てがないまま2週間が経過すると、債権者は「仮執行宣言付支払督促」を申し立てることができます。
仮執行宣言付支払督促は、強制執行の債務名義として用いることが可能です。
4.訴訟の提起
支払督促に対して異議申立てがなされた場合は、訴訟手続きに移行します。
また、支払督促を経ずに直接訴訟を提起することもできます。
債権回収訴訟では、原告である債権者が債権の存在を主張・立証し、被告である債務者が反論をおこないます。
裁判所が原告の主張を認めた場合、被告に対して債務の支払いを命ずる判決を言い渡します。
判決は控訴・上告の手続きを経て確定し、確定判決は強制執行の債務名義として用いることが可能です。
なお、判決に至らず和解が成立することもあり、その場合は確定判決と同一の効力を持つ和解調書が作成されます(民事訴訟法267条)。
5.強制執行の申立て
仮執行宣言付支払督促・和解調書・確定判決などの債務名義を取得したら、裁判所に対して強制執行を申し立てます。
強制執行手続きでは、預貯金・給与債権・不動産・現金などの債務者財産を換価・処分して、債権の弁済に充てられます。
強制執行の申立てに当たっては、対象とする債務者の財産を特定しなければなりません。
債務者の財産を把握していない場合には、「財産開示手続」(同法196条以下)や「第三者からの情報取得手続」(同法204条以下)によって情報を得ることが可能です。
債務整理の流れ
弁護士への依頼から債務整理が完了するまでには、おおむね以下の流れで手続きが進行します。
- 弁護士への依頼|委任契約書の締結・着手金の支払い
- 受任通知の発送
- 実際の債務整理手続き
1.弁護士への依頼|委任契約書の締結・着手金の支払い
債権回収と同様に、まずは依頼先の弁護士を選定した上で委任契約書を締結し、着手金を支払います。
サポート内容や見積もりなどをよく比較検討して、納得した上で依頼を決断しましょう。
2.受任通知の発送
債務整理の場合は依頼直後の段階で、弁護士が債権者へ受任通知を発送します。
受任通知には、債務整理を受任した旨や、債権回収に関する連絡は弁護士宛におこなうべき旨などが記載されます。
債権者対応の窓口が弁護士に一本化される上、銀行・貸金業者などからの取り立てがストップするため、債務者にとっては精神的な安定に繋がるでしょう。
3.実際の債務整理手続き
受任通知の発送後、債務者と弁護士が相談の上で債務整理の種類を決定し、その手続きを実行に移します。
<主な債務整理手続きの種類>
(1)任意整理
債権者と直接交渉して、利息のカットや支払いスケジュール変更などを認めてもらいます。
(2)個人再生
裁判所を通じて、原則としてすべての債権者との間で、債務のカットやスケジュール変更などを認めてもらいます。
(3)自己破産
裁判所を通じて、債務者財産を処分して債権者に配当した上で、債務全額を免除してもらいます。
任意整理の交渉や、個人再生・自己破産の申立ては、弁護士に一任することが可能です。
効果的に債務整理をおこなうには、債務者の状況に合わせて、適切な手続きを選択することが重要になります。
まとめ
貸したお金が返ってこない、借りたお金を返せないなどの金銭トラブルは、弁護士に相談することで解決できる可能性が高まります。
対応実績やサポート内容などから、金銭トラブルに強い弁護士を見極めて相談・依頼しましょう。
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